歯の一生について
歯の治療は、繰り返すとすぐに寿命が来てしまいます
歯は大事にお手入れをしながら使えば一生使えるものです。
しかし、お手入れを怠ってしまうと、残念ながらむし歯や歯周病で歯を失ってしまうことが多いです。
むし歯になった歯の一生
むし歯
まず、歯に歯垢(細菌のかたまり)がこびりついて、むし歯になります。むし歯はかなりの大きさになる まで痛みも出ず穴も開かないため、自分ではなかなか気づくことができません。
修復
痛みが出たり穴が開いたところでやっと歯医者さんに行くと、むし歯を削って詰め物で治療することになります。ここで一度むし歯は治ります。
二次むし歯・根の治療(神経の治療)
しかし油断してケアを怠ると、詰め物の伱間から細菌が侵入し、詰め物の中でむし歯ができてしまいます(二次むし歯)。そしてまた、歯医者へ行き、歯の中の神経を取る治療をします。上から銀歯をかぶせてまたむし歯が治ります。
二次むし歯を繰り返し修復不能に
そうして治療をくり返すと、健康な歯の部分は前よりも少なくなっていきます。また、神経を取ってある状態の銀歯は、むし歯が大きくなっても痛みを感じません。そのため銀歯の中でむし歯がどんどん大きくなっても気がつかずに、抜歯するしかない状態にまでなってしまうのです。
歯の寿命をのばそう!8020運動
8020運動とは、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動で、厚生労働省と日本歯科医師会が平成元年から始めた運動です。20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物を噛み砕くことができ、食べ物を美味しく食べることができると言われています。どんなものでもしっかりと噛んで食事できることは健康の維持に繋がります。いつまでも健康でいるためにも、むし歯や歯周病を予防してできるだけ自分の歯を残せるよう心がけましょう。
二次むし歯について
二次むし歯とは
一度むし歯を治療したのに、同じ場所がまた何度もむし歯になってしまうことを二次むし歯といいます。
そういったむし歯は、治療した金属と歯の伱間にむし歯菌が入り込んでしまうことで起こります。むし歯治療した後も、きちんとケアをしなければ、むし歯治療を何度何度も繰り返すことになり、最終的には歯を抜歯しなくてはいけなくなってしまいます。
一度むし歯になった歯は完全に元通りには治りません
「治る」ということには2通りの意味があります。1つは完全に元に戻る場合です。例えば、風邪が治った時は、体調はほとんど以前と同じ状態になっていると思います。もう1つは治っても完全に元に戻ったわけではない場合です。例えば、怪我や病気で手術をして病気は良くなっても、後遺症が残ってしまう場合があります。
むし歯治療で言う「治る」は、後者のような状態です。治療して悪い所を取っても、人工物で置き換えているにすぎないので、元通りになったわけではありません。人工物に置き換えることには限界があります。悪い所を取って置き換える、ということができなくなった時、抜歯をしなくてはならないのです。しっかりとメインテナンスを行い、二次むし歯にならないようにすることが大切です。
神経を抜いた歯は、抜歯の一歩手前の状態です
神経を取った歯は、抜歯の一歩手前の状態なので注意が必要です。神経を取るような状態では、もう歯のほとんどの部分が人工物に置き換えられているため、その先何度も治療を繰り返すことができません。また、神経を取っているため痛みも感じず、むし歯が進行しても気づきにくいので、気がついたら抜歯しなくてはいけない状態になっていた、ということも多くあります。
むし歯の治療
歯をできるだけ削らない治療(MI)を心がけています
M.I.とは「ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)」の略で、できるだけ削らない・抜かないなど、歯へのダメージを最小限に抑えて健康な歯質を残す考え方のことです。当院ではこのM.I.をの考え方にのっとって、できるだけ歯を削らず、できるだけ神経を取らず、生まれ持った歯をできるだけ長持ちさせることを念頭に置いて治療を行っています。これまでのむし歯治療は、とにかくむし歯を取り除く事を基本とする治療法でした。むし歯が深い場合は神経を取って、むし歯の感染を防ごうとしていました。M.I.の考え方は、「国際歯科連盟」によって提唱され、現在日本にも広まってきています。
M.I.を支える歯科材料の進歩
これまでは、むし歯の治療する際の詰め物に、コンポジットレジン(小さいむし歯の治療に使われる白い詰め物)を使用すると、接着力や強度に問題があり、すぐ外れてしまったり、壊れやすいため、金属を使用することが一般的でした。しかし、最近では、コンポジットレジンの接着性が進歩し接着性が確実なものになってきました。金属の詰め物とは違い、コンポジットレジンでは健康な歯を削らずに治療することができるので、歯を削る量が少なく済みます。こういった歯科材料の進歩も、M.I.が定着してきた一因です。
むし歯治療
むし歯の程度ごとに、代表的な治療方法をご紹介します。
【小さなむし歯】充填(コンポジットレジンなど)
小さなむし歯の場合、まずむし歯の部分を削ってきれいに成形してから、その部分にコンポジットレジンなどで充填をして穴を塞ぎます。特殊な光をあてて硬化し、最後に研磨して歯の形に整えます。
【中程度のむし歯】詰め物(インレー)
中程度のむし歯の場合、詰め物(インレー)で治療します。むし歯部分を削り、削った部分の型を取ります。型と同じ形に作ったインレーをはめ込みます。
【重度のむし歯】被せ物(クラウン)
歯の神経を取らなくてはいけないような重度のむし歯では、被せ物(クラウン)で治療します。ただ、むし歯菌が残ったまま被せ物をしてしまうと二次むし歯の原因となるので、クラウンを被せる治療の前に、歯の根の部分を念入りに綺麗にしておかなくてはいけません。
むし歯の部分を削り取ったら。むし歯菌に侵された歯の神経を取り除きます。神経が入っていた歯の根を、薬で洗浄し、薬を充填してからふたをし、詰め物をします。その後、被せ物を被せるための土台(コア)を入れて歯に固定します。その後形を整えたら歯型をり、被せ物(クラウン)を作ります。クラウンを被せて固定したら治療は完了です。
治療後はメンテナンスをしっかりと
むし歯治療が終了しても、同じ所が再びむし歯になってしまう(二次むし歯)こともあります。むし歯が再発したり、新しいむし歯ができてしまわないように、歯科医院で定期的にメインテナンスを受け、予防につとめることが大切です。
可能な限り痛くない治療のために
痛みへの不安などを取り除くためしっかりと治療のご説明をいたします
当院では、患者様が安心して治療を受けられるようにつとめています。治療を行っていく中で、今後どのような事が起こり得るか、どういう治療法が適していて、どのくらいの期間が掛るかなど、しっかりとご説明をしていきます。これは痛みについても同様です。痛みについても説明をし、できるだけ痛くない治療を行っています。痛みについての不安などおありの方にも安心な、笑気ガス麻酔などのご用意もありますので、お気軽にご相談ください。
怖がりの方にも安心な麻酔プラン
表面麻酔
注射針を刺す部分には、まず表面麻酔薬をぬって注射針の痛みを感じにくくします。表面麻酔がしっかりと効くまで、ゆっくりと時間をかけて待ちます。
麻酔薬の温度管理
注入する麻酔薬と体温に差がありすぎると、痛みが出る原因になることがあります。そのため、麻酔薬は、人の体温と同じ位に温度管理をして痛みを軽減します。
笑気ガス麻酔
麻酔は時間をかけてじっくり待つのはもちろん、怖がりの人には“笑気ガス麻酔 ”を用意しています。“笑気ガス麻酔”は欧米では一般的に使われているもので、リラックス効果があるガスを吸引することで、痛みや怖さを和らげる方法です。保険適用内のものもあり、気軽にご利用いただけます。
「マイクロスコープ」を使用した拡大視野での精密治療
当院では治療を行う際に拡大鏡やマイクロスコープを使用しています。拡大視野下で治療ができるため、肉眼では見えなかった部分をしっかり確認する ことができます。精密な治療が可能となり、侵襲を極力抑えた処置を行えるので、痛みを最小限に抑えることができます。